はじめに
私たちは一人でできることに限界があります。ましてや、先人たちからの教示もなければなおさらです。バイオマス発電事業は、歴史も浅くまさにそんな事業であると言うことができます。独自で苦労しながら事を進めることも大切なことではありますが、同じ境遇の仲間と事にあたった方が何倍も効率よく進めることができます。
その思いの元、「バイオマス発電連携協議会」は2016年8月に東海地区の4事業者が集結し発足致しました。その後、その考えに共感していただける方々が全国から集まり、今年2024年には約30社の事業者とその関連する会社が集結し、機械や技術をテーマとした取り組みの共有などのほか、最近では発電事業者が山へ出て林業に積極的に参加し始めるなどグローバルな展開をするまでになりました。
現在我々が抱える問題として、近頃いくつかのバイオマス発電所が燃料不足や採算性の悪化により閉鎖に追い込まれていることが、決して他人事ではないということがあります。 今後さらに閉鎖される発電所は増え続けるのではないかと予測しています。
要因は、燃料を確保できる見込みもないままバイオマス発電所が全国に乱立したことで、同士間の燃料の取り合いに拍車がかかる一方であること、加えて輸送費の高騰、円安と原油高、人件費の高騰などにより、事業に最も必要な燃料である木材チップの値段が、10年前の1.5倍ほどにも高騰してしまっていることが主に挙げられます。
我々発電事業者を取り巻くコスト環境は相当に悪化しています。そのような状況にもかかわらず、売電価格は10年前から変更されることもなく、大手電力会社からは出力抑制を指示されるなど、このままでは日本のバイオマス発電事業そのものが衰退していくのではと危惧しています。
我々協議会としては、せっかく築き上げた貴重な技術やノウハウを後進に継承しつつ、FIT制度の終了時期を見据えながら、その後の事業存続の方策など多くの課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
最後に、当協議会は、国内の木質材を燃料とするバイオマス火力発電所の集まりとなります。もし当会に参加ご検討いただける方がいらっしゃれば、どうぞ事務局へご一報ください。同じ志で目標に向けて協力いただける方を募集いたします。
2024年5月
バイオマス発電連携協議会 会長 稲垣 欣久